KATAYAMA SANGYO Co.Ltd Presents talk session.

岡山純度100%の地酒を

中田
全国どこに行っても、それぞれ自慢の地酒があります。どの県も、必ず地酒を観光客にPRしています。岡山で「地酒」というのなら、これはもう、岡山で取れた米、岡山の水、岡山の杜氏が作った、三拍子そろった純粋な岡山の酒。これをぜひ飲んでもらいたいもんだよね。
片山
岡山には雄町米という素晴らしい酒造好適米があります。品質はいいのですが、有名な山田錦に比べたら10分の1程度の出荷量。ちなみに雄町米の全国の9割以上は岡山県産ですので、この雄町で作ったお酒をもっと多くの人に飲んでもらいたいわけです。 そのための起爆剤として、雄町米で作った吟醸酒を全国新酒鑑評会に出品して金賞を獲ろうじゃないか、という取り組みを行っている最中なんです。
中田
なるほど、それはぜひ実現してほしいなあ。 雄町米の本場・岡山で収穫された米を使い、地元で醸された格別の日本酒を、岡山ならではのサワラ料理と一緒に・・・みたいな流れになれば、日本酒好きの人たちが岡山県に着目するだろうね。 じつは、最近は日本酒のイベントに若い女性の姿を多く見るようになりました。 日本酒は確かに見直されてきている。おいしいサワラとセットで楽しめるなら魅力も倍増・・・。とはいえ、呑兵衛ばかりが岡山に押しかけてきても困るんだが(笑)。 いずれにしろ、旅行者にとって「食」は楽しみの大きな部分を占めているし、旅行そのものを動機づける大きな要素。その点、日本酒で集客力を持つのは、なんといっても新潟県。じっさい、日本酒のイベントを開くとコンスタントに客を集めていますから。
片山
新潟は酒どころで、おいしい銘柄がたくさんあります。だからと言って、岡山の酒が新潟に負けているのかというと、そんなことはない。
中田
そうそう。以前、岡山の旅館・ホテル約30軒に協力してもらって、岡山の地酒を飲み比べてもらうイベントをやったのですが、参加された方は口々に「岡山の酒がこんなにおいしいとは知らなかった」と感想を語っていました。
片山
私共が酒米を納めた信州のある酒蔵では、まったく同じ条件で山田錦と雄町を仕込んでお客さんに飲みに比べてもらったところ、雄町の方がコクがあっておいしいとの声が多かった、との報告を聞いています。

「幻」からの復活劇

かつて雄町は全国の酒蔵から確かな名声を得ていたものの、栽培の難しさ、収量の低さなどから作付が激減。また酒蔵も、作りの難しい雄町を敬遠するようになり、昭和50年代には「幻の酒米」と呼ばれるほどに衰退しました。
しかし、昭和から平成にかかる頃、岡山の利守酒造様の尽力もあり、徐々に作付が増加。平成27年には全国で約2850トンが生産され、95%が岡山県産。その約2割が岡山県内の酒蔵で使用されています。
現在は全国の酒蔵で使用され、また雄町で仕込んでみたいという問合わせも増加傾向。毎年8月に東京で開催される「雄町サミット」の品評会には全国から約200銘柄の雄町の酒が出品されます。
高価格な米ですので、40-50%精米し吟醸・大吟醸の原料とされる事が多いですが、雄町独特のコクを楽しむべく、60-70%精米で純米酒を醸す酒蔵も。「ぬる燗でじっくり」がお好きな方には雄町の純米酒がお奨め!

日本酒ファンを増やすも、減らすも,酒蔵次第。

日本酒は悪酔いするからどうも・・・という方がいらっしゃる。確かに戦後から昭和の終わりにかけて、糖や調味料を添加したひどい日本酒があったのも事実。平成に入り、日本酒(吟醸酒)ブームがあり、美味しい日本酒を少しずつ、というファンが増えました。しかし、そのブームも高い値付けやインチキ吟醸酒が出現しあっと言う間に終焉。せっかくのチャンスを業界自らが潰してしまった経緯があります。 平成も20年代に入り、酒蔵の醸造技術向上に向けた努力の甲斐あり、酒質が格別に向上。各地での日本酒イベントなどとの相乗効果から、吟醸酒や純米酒の需要が増えています(第2次日本酒ブーム)。 焼酎や酎ハイ、ワインに押されているとはいえ、美味しい日本酒のファンは確実に増えていますぞ。業界の皆さん、今の流れを大切に育てましょうね!

喝!、と言っておこう

「とりあえずビール。よっしゃ次は熱燗!」という方が多かった1970年代。日本酒の生産量は1973年(昭和48年)に170万キロリットルとピークを迎えました。それが40年後の2015年(平成23年)には55万キロリットルまで激減。日本酒の落ち込みは、アルコール類全体の需要が落ち込んでいる事、また、ワインや焼酎、酎ハイなど種類が増えたことも一因ですが、ヘビーユーザーであった団塊世代以上の人達が、健康面や金銭面の理由から日本酒を敬遠したのも要因かも・・・。かくいう私(昭和28年生れ)も30歳ごろには5-6合はへっちゃらでしたが、今や2合飲めば撃沈!
国内で売れなければ外国へとばかり、2016年(平成28年)の日本酒の輸出量は約2万キロリットル。金額ベースで2012年(平成24年)が89億円、2016年(平成28年)は156億円と伸びています。欧州のソムリエの試験にも日本酒が取りあげられるなど、世界中で注目度は確実に上がっています。今後も、輸出の割合を増やす酒蔵は増えていくことでしょう。 政府は米製品の輸出を奨励していますが、日本酒への応援体制は誠にお粗末!家畜の飼料用にたんぼ10アールあたり8~10万円も補助金を出しているのに対し、日本酒用の米には僅か12000円の補助金もカットしようとする動き(2018年(平成30年)産米は未定)。
業界のみならず、「日本の米で醸される國酒」を守る機運を高めたい。 国は輸出を推進するなら、それなりのバックアップをせんかい!喝。

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