KATAYAMA SANGYO Co.Ltd Presents talk session.
「幻」からの復活劇
かつて雄町は全国の酒蔵から確かな名声を得ていたものの、栽培の難しさ、収量の低さなどから作付が激減。また酒蔵も、作りの難しい雄町を敬遠するようになり、昭和50年代には「幻の酒米」と呼ばれるほどに衰退しました。
しかし、昭和から平成にかかる頃、岡山の利守酒造様の尽力もあり、徐々に作付が増加。平成27年には全国で約2850トンが生産され、95%が岡山県産。その約2割が岡山県内の酒蔵で使用されています。
現在は全国の酒蔵で使用され、また雄町で仕込んでみたいという問合わせも増加傾向。毎年8月に東京で開催される「雄町サミット」の品評会には全国から約200銘柄の雄町の酒が出品されます。
高価格な米ですので、40-50%精米し吟醸・大吟醸の原料とされる事が多いですが、雄町独特のコクを楽しむべく、60-70%精米で純米酒を醸す酒蔵も。「ぬる燗でじっくり」がお好きな方には雄町の純米酒がお奨め!
日本酒ファンを増やすも、減らすも,酒蔵次第。
日本酒は悪酔いするからどうも・・・という方がいらっしゃる。確かに戦後から昭和の終わりにかけて、糖や調味料を添加したひどい日本酒があったのも事実。平成に入り、日本酒(吟醸酒)ブームがあり、美味しい日本酒を少しずつ、というファンが増えました。しかし、そのブームも高い値付けやインチキ吟醸酒が出現しあっと言う間に終焉。せっかくのチャンスを業界自らが潰してしまった経緯があります。 平成も20年代に入り、酒蔵の醸造技術向上に向けた努力の甲斐あり、酒質が格別に向上。各地での日本酒イベントなどとの相乗効果から、吟醸酒や純米酒の需要が増えています(第2次日本酒ブーム)。 焼酎や酎ハイ、ワインに押されているとはいえ、美味しい日本酒のファンは確実に増えていますぞ。業界の皆さん、今の流れを大切に育てましょうね!
喝!、と言っておこう
「とりあえずビール。よっしゃ次は熱燗!」という方が多かった1970年代。日本酒の生産量は1973年(昭和48年)に170万キロリットルとピークを迎えました。それが40年後の2015年(平成23年)には55万キロリットルまで激減。日本酒の落ち込みは、アルコール類全体の需要が落ち込んでいる事、また、ワインや焼酎、酎ハイなど種類が増えたことも一因ですが、ヘビーユーザーであった団塊世代以上の人達が、健康面や金銭面の理由から日本酒を敬遠したのも要因かも・・・。かくいう私(昭和28年生れ)も30歳ごろには5-6合はへっちゃらでしたが、今や2合飲めば撃沈!
国内で売れなければ外国へとばかり、2016年(平成28年)の日本酒の輸出量は約2万キロリットル。金額ベースで2012年(平成24年)が89億円、2016年(平成28年)は156億円と伸びています。欧州のソムリエの試験にも日本酒が取りあげられるなど、世界中で注目度は確実に上がっています。今後も、輸出の割合を増やす酒蔵は増えていくことでしょう。 政府は米製品の輸出を奨励していますが、日本酒への応援体制は誠にお粗末!家畜の飼料用にたんぼ10アールあたり8~10万円も補助金を出しているのに対し、日本酒用の米には僅か12000円の補助金もカットしようとする動き(2018年(平成30年)産米は未定)。
業界のみならず、「日本の米で醸される國酒」を守る機運を高めたい。 国は輸出を推進するなら、それなりのバックアップをせんかい!喝。